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 森てるおの拡声器 <第57号> 2015年11月発行  (html版)


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安保法反対街頭宣伝

誰がシナリオを描いているのか
 庁舎統合問題も三館合築問題も、市の提案のまま進めると後戻りのきかないまちづくりがスタートしてしまう。三館合築が行われて、暫定庁舎となる田無庁舎が20年後に「どこか」に移転されると、田無駅至近の公共施設はキラットだけになる。暫定移転後、保谷庁舎は計画通り売却されているかもしれない。20年後のまちづくりはそんな場面から始まることになるのだ。現状からではない。
 そのことを行政は市民に説明しただろうか。「暫定」という言い方で、実はあともどりできないまちの方向を決めてしまう、そんな行政が許されるのだろうか。
 将来のまちづくりをどうするのかは極めて重要な市民の関心事だ。しかし行政から何も提案されていないし、市民はなんの議論もしていない。
 将来の町の姿に市民が関与できない、そんな状況の下で進行しいるこれら課題への取り組みに関する、シナリオの作者はいったい誰なのだろうか。市長だとすれば、まちづくりの根幹を市民参加もなく決めてしまう政治手法を採用した時点で「市長失格」というしかない。

行政の嘘を許さない
 実は、この間の議会質疑を通じて政策決定の場面で市長が関与する姿が見えてこない。追認はしていても、市長が決定しているという証拠がないのだ。私は就任後「行政主導の市政になっている!」と批判してきたが、市長が関与しないところで進んでいるのだとしたら「官僚主導」ということになるだろう。もちろん市長は免責されない。指導力不足と指弾されなければならないのだ。
 三館合築は行財政改革推進委員会のシナリオで進められている。庁舎統合暫定案もその行革委員会や行財政改革会議の方針通りだ。「行財政改革こそがまちづくり」ということで良いのだろうか。行政運営にコストを考慮しなければならないのは当然だ。しかし、コストを削ればいい町になるわけではない。まちづくりは市民と行政が一体となって取り組む課題だ。「行政主導」、ましてや「官僚主導」で進めるべき課題ではない。市の案は目先のコストにこだわっただけ。長期的な視点を欠いている上、市民が使いづらい。使わなければ最大の無駄になる。市民に高い買い物を押し付けているようにしか見えない。
 庁舎統合暫定案は、実のところ「新しい用地への移転を決めたが、田無庁舎を残りの耐用年数分だけは使おう」ということ。新しい用地は決まっていない。用地購入費もかかる。しかも田無庁舎を暫定利用するために図書館と公民館の移転が必要で、市民会館の狭い敷地に三館の機能を押し込もうとしている。
 議会は「市民会館、中央図書館、田無公民館合築複合化については、時間をかけ慎重に検討することを求める決議」を可決した。議会の意思を行政はどう受け止めるのか。
 三館合築を事実上の前提とした庁舎統合暫定案も、コスト比較を含めて、もう一度練り直すことが必要だ。施設は一度建てたら長期に渡って使い続けることになる。検討しすぎるということはない。

社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)
 この10月から、市民一人ひとりに付けられた12ケタの番号の通知がはじまった。便利になると喧伝されているものの、便利になるのは行政であって、市民には大きな利便性はない。そのままでは普及が進まないと案じる政府は、番号通知が始まる前から法改正をしたり、法律にない様々な事例を宣伝している。利便性を高めるためには利用範囲の拡大が不可欠であり、それはそのままリスクの高まりに直結する。
 消費税の還付への利用は撤回されたが、NHKの受信料の徴収に利用するとも言われている。健康保険証やワンカードとして利用させる考えらしいが、市民の情報を丸裸にすることにしかならない。管理するのは国家だ。国家による市民監視、市民管理が進行する。
 最初は「あると便利」とか「あると得」だけど、持つ人が多くなると「なければ不便」「なければ損」へと変化していく。いきつく先は、持っていないことが「いけないこと」になって義務化(強制)され、ゆくゆくはパスポートのように持っていないこと自体が「犯罪」にされかねない。今がその出発点になる。
 先行する諸外国では問題が多発して、同様の制度から撤退する動きが強まっている。「君子危うきに近寄らず」作戦、「ICカードを持たない、使わない」で普及を遅らせることを再度呼びかけたい。
 知らない間に自分の情報が誰かにのぞかれ、使われるって気色悪いよね。なりすましに悪用されることだってある。そもそも番号がなくても行政手続きはできるし罰則もない。市民の側から使うのはやめよう。
 番号制度は利用を拡大していくことが法律で決まっているから、民間にまでどんどん拡げられていく。「小さく生んで大きく育てる」という行政手法がここでも使われている。用心用心。

「李下に冠を正さず」「イチゴ畑で靴ひもを直すな」
 前号で「障害者総合センター・フレンドリーの指定管理者を市長後援会の会長(の会社)が受託した」と、倫理的な問題として指摘した。今回は新たに、市長選挙での丸山支持の政治団体(確認団体)幹部が肩書もそのままに、選挙管理委員に就任したことが明らかになった。選挙管理委員はいうまでもなくもっとも政治的中立性が求められる立場だ。選挙の公正性が疑われれば議会制民主主義の根幹が揺らぐ。
 さあ、市長どうする!

どう立ち向かえばいいのか
 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の場合は国民総背番号制度への抵抗感から、自治体が共同で運営する「自治事務」とされました。しかし、国民総背番号制度そのものとなった共通番号制度では、国が法律で自治体に実施を強制する「法定受託事務」として出されてきました。行政・市民の利便性を餌にして、自治体を国の手足にしようというのです。
 そこでどう立ち向かうかなのですが、一人一人の意思でできることとして「共通番号カード(ICカード)を取得しない」という手段を提案します。「君子危うきに近寄らず」作戦です。ICカードを使わなければ情報が拡散する危険性はその分少なくなります。
 住基ネットがそうだったように、ICカードの普及が進まなければ、この制度も窮地に落とし込むことが出来ます。わずかばかりの「利便性」と引き換え丸裸になるわけにはいきません。
 私たちのすべてをさらけ出させる「市民丸裸番号法」に抵抗していきましょう。

東町、下保谷のポンプ場の改修がストップ
 汚水の自然流下対策で不要になった東町と下保谷のポンプ場を、雨水対策用の貯留槽として再利用し、建物は集会所等の施設として整備するとして、今年度予算に整備費が計上された。しかし予算編成の終盤に汚水施設を雨水施設に転用するのは「目的外使用」に当たるとして、国から施設建設時の補助金を返還するように求められた。
 予算計上前の事前確認の不手際、予算の執行不能に陥る事態を招いた不手際、そして何よりも、その事実を伏せて予算を提案し、成立させた議会軽視を厳しく追及したい。
 (仮称)第10中学建設の設計を委託した会社が民事再生法を申請したという事実についても、成り行きがはっきりしてから報告するつもりでいたという理由で議会には報告されていなかった。現在進行中の事実が議会に伏せられていたら、議会は適切な対応を取ることが不可能になってしまう。「結果オーライ」の見込み運転が西東京市の行政姿勢なのか。

委員会視察と個人研修
 7月に委員会の視察で名張市に行った。名張市にはこどもから高齢者までの相談場所として、看護職、介護職を配置した15か所の「まちの保健室」があり、そこに妊娠・出産・育児の切れ目ない相談・支援をするフィンランドの施策をまねた「名張版ネウボラ」と名付けた施策を同時に展開する事になった。
 日常的に様々な市民の不安を解消する窓口になると期待できるものだった。
 次いで10月には研修所での5日間の缶詰め研修を受講してきた。社会保障、社会福祉のおさらいに加え、最新の状況を知り、将来施策の方向も垣間見ることができた。講師は行政職から転職された大学教授がほとんどで、実務的な観点からの話も多く、大変参考になる研修だった。

柳泉園で水銀汚染
 西東京、清瀬、東久留米3市のごみの焼却をしている柳泉園で、煙突から水銀が流出していることが確認された。東京都23区基準の1.5倍の濃度で排ガス流量から計算して最低17gは流出したものと見られる。バグフィルターで95%は除去されることとされているので焼却量は340gになる。柳泉園は事業系のごみに医療用の血圧計などが混入していたのではないかと説明しているが、血圧計に使われている水銀の量は40gくらいだそうだ。340gだと8〜9台の血圧計が焼却されたことになる。事業系の可燃ごみの中に混入していたと説明しているが本当だろうか。本当だとしてもあってはならない管理上のミスだ。さらなる説明を求めていきたい。

「安保法案の廃案」を求めた意見書は議長採決で否決!
 議員提出議案「安保関連法案に反対し、廃案を求める意見書」は採決で、13:13の同数となり、議長採決で否決されました。自公は議長を除いて12議席しか持っておらず、その他が15人。
 その他の中から次世代の党のたきしま議員が反対に回り、維新の党の山崎議員が退席をしたため13:13になったもの。自民会派から出ている稲垣議長の判断で否決という結果になった。

指定管理者は市長の後援会長!
 障害者総合支援センター「フレンドリー」の指定管理者が決まりました。指定管理料は5年半で総額8億600万円。5業者が説明を受け4業者が辞退。唯一の応募業者から事業内容の提案を受けて仮契約に至りました。
 業者の提案内容を評価して賛成したものの、後にこの業者の代表者が丸山市長の後援会長であると聞かされて唖然としました。
 「梨下に冠を正さず」「苺畑で靴紐を結ぶな」という言葉があります。疑われるようなことはするな、ということです。

STOP ABE
 前号で、安保関連法案の廃案を求める行動へのご参加を呼びかけました。残念ながら強行採決で安保関連法は成立したものとされてしまいました。しかし憲法違反という事実は変えられません。今後、法律の廃止を展望して行きたいと考えます。
 「自公政権が問題なのではなく、安倍政権が問題なのだ」と言い続けてきましたが、安保関連法案に賛成の手を挙げたことで、自公議員は安倍政権の共犯になってしまいました。その瞬間に自公議員は安倍政権と共に打ち倒す対象になったのです。
 自公政権(安倍政権)の問題点は、言うまでもなく、その反民主的政治手法にあります。多数の「死に票」の結果で得た多数議席におごり高ぶり、行政権力を持って異論の一切を排除して省みない独善的行政運営が行われています。「独裁」の一言に尽きるものと言わざるを得ません。
 この狂気の政権をどのように終わらせるのかについては、以前から言っているように、その寄って立つ根拠たる「国会の多数議席」を奪うしかありません。
 2014年12月の総選挙での自公両党の得票率は4割程しかありません。つまり残り6割で安倍内閣という民意を無視する政権を終わらせる事は可能なのです。問題はその6割をどう結集させるのかということになります。
 安倍政権打倒による安保関連法の廃止を争点に野党を結集すれば、自公の獲得議席数を上回ることが可能です。しかし課題はもうひとつあります。それは誕生した政権が持続できるかという問題です。持続出来なければ解散に追い込まれて安倍政権が復活します。そうなる理由は小選挙区制という選挙制度にあります。
 そこで、アベ政権の再登場を許さないために、選挙制度の改正を公約にすることを提案します。次の選挙の公約ですから、時間を掛けている訳にはいきません。選挙制度で最も困難なのは選挙区の区割りです。それを必要としない比例代表制を公約にさせましょう。比例代表制はすべての政党に平等で、したがって自民党以外の政党は全て現有議席を増やすことができます。
 次の総選挙では安保法の廃止(安倍政治のリセット)と、選挙制度の比例代表制への変更を2本の柱とする選挙管理内閣の創設を公約に、自公以外の各政党の結集を求めたいと考えています。
 民主党、維新の党共にぐらぐらしていますが、心配ありません。統一候補を全ての小選挙区に擁立すれば、野党結集に加わらない候補は自公候補と統一候補に挟撃されて当選できませんから必ず参加してきます。それに、現職は最優先で候補者にすればいいのです。安保法制がよほど好きな議員や比例代表制は絶対いやという野党議員は落選してもらいましょう。どっちについた方が得か、よーく考えてもらおうではありませんか。

森の談話室(名称変更します)お越しください!

 日 時:2016年1月10日 午後2時〜4時半
 場 所:西東京市民会館 第1会議室

 前回の「市民のひろば」開催は行政主催の行事のために会場の確保ができずやむなく中止させていただきました。次回の開催は予定通り1月第2週(1月10日)午後2時から、とさせていただきます。今回は発行が遅れたために、図らずも会場確保のご連絡ができました。
 通常、開催は1月、4月、7月、10月の第2日曜日の午後2時からを予定しています。確定しているかどうかは市民会館にお問い合わせいただくか、ホームページをご覧ください。


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