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 森てるおの拡声器 <第50号> 2012年4月発行  (html版)


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本会議で市長に質問<写真>

住民自治のまちづくり
予算の考え方

 今年度の予算総額は昨年度に比べて縮小しています。昨年までの合併特例債(返済時に国が70%を肩代わりしてくれる借金)がなくなり、関連事業がなくなったからです。
 市の収入は大まかに言って、市税、国税からの交付金、地方交付税、基金の取り崩し、借金です。これで必要な事業を行うことになるのですが、国や東京都が誘導する事業を採用すると事業費の何%かが補助金としてもらえます。
 もちろん残りは市の負担。収入の中から支出したり、新たな借金で賄ったりします。採用した事業が市の施策の優先順位にかなっていれば問題ありませんが、そうでない場合は無駄遣いということになります。
 高度経済成長の時代のように毎年収入が増えていくのならば、そんなやり方でも問題は表面化しなかったのですが、もうそんな時代ではありません。必要な事業を厳選して、貴重な税金を使わなければなりません。

ソフト事業とハード事業
 町づくりといった場合、施設の整備を連想される方々も多いのですが、西東京はすでに成熟した町です。社会資本の整備という意味での町づくりは基本的に終わっています。そこで、新しい町づくりの視点が必要になります。一言で言ってしまえば、ハードからソフトへということです。
 ソフトを重視した町づくりには、一般的な行政事務は別にして、どのようなサービスを提供するのかが課題になります。そこには行政としての明確な筋が一本通っていなければなりません。今の西東京市政にはそれが欠如しています。
 すべての市民が心豊かに暮らすことを原則にするのならば、セーフティネットの充実は不可欠でしょう。生活上の不都合が起こった時に、安心して不都合の解消に力を傾注できることが必要です。
 つぎに、事業の優先順位をつけることが必要ですが、ここでも原則を決めておかなければなりません。住民自治ですから、自分(自分たち)でできることは自分(自分たち)で、が原則です。過剰サービスは市民の自立を阻害します。
 実施されている事業は必ず数年のうちに必要性や効果の見直しをすることが必要です。また、事業の妥当性を市民が判断するシステムも必要です。それが住民投票制度です。住民が考え実現する町には、ぜひ設けなければなりません。
 市民が時代の、そして町の主人公になっていくことを町づくりの基本にしなくてはなりません。事業のすべてを通じて、市民が自治の主人公だと自覚できるようにしていくことが必要です。

原発都民投票
 国民の意思を問うこともなく、また、福島原発の事故原因がまだ解明されないのに、原発の再稼働を目論む人たちが政府や経済界で多数を占めています。それらの人たちが原発利権に群がり、利権あさりをやめようとしない今、原発の是非を問う都民投票は、なにがしかの意義を持っています。
 都民投票条例の直接請求は、法律上の必要数をはるかに上回る署名が集まり、第一段階は成功裏に終了しました。ボールは都議会に投げられました。第2段階として、都議会が、これから都知事を通じて提案する、都民投票実施条例を可決すれば、原発都民投票が実現します。
 東京都の人口は1300万人です。国の人口が1億2800万人ですから、国民の一割を対象としたサンプル調査です。十分に国民の意思を推し量ることができます。都議会議員のみなさんには、ぜひとも条例に賛成してもらいたいものです。
 この国の未来は国民のものです。未来に責任を持つのも国民です。責任を自覚するためには決定に参加することが不可欠です。自分たちで決めて、決めたことに責任を持つ、それが市民社会というものです。
 原発都民投票(住民投票)を成功させましょう。

PPSに後れを取った
 西東京市が保有する公共施設の電気調達先を東京電力から特定規模電気事業者(PPS)に変えるべきだ、と何度も進言してきました。入札によって電気料金が相当安くなります。
 昨年の6月議会での回答は「検討するつもりがない」というものでした。
 その後12月議会に至って検討しますと答弁が変わったものの、時すでに遅く、PPS事業者の電力供給力が足りなくなる事態になってしまいました。当然入札価格が高くなり、入札不調(不成立)が続出する事態になっています。西東京市は値上げをする東京電力から買うしかなくなりました。
 だいたい西東京市は動き出しが遅いんです。失敗を恐れてのことでしょうが、要は、責任を取るべき人が責任を取らない状態になっているということでしょうね。

マッチポンプ?
 自民党の代表質問で、関連質問を行った保谷なおみ議員が、自民党も推進していた中学校給食や小中学校への空調機設置を取り上げて、市民要望が強く市長の強い思いで実現した、市長の政策判断の帰結として、放漫経営が財政窮乏を招いたと批判しました。
 自分たちがやれやれ!と言っておきながら、実現したら放漫経営だと批判する、これってマッチポンプと言うんですよね?

議場に日の丸、その後
第一回定例会から掲揚するようにという決議だったのですが、予算がつけられず、先送りになりました。補正予算をつけてまでやるようなものではないし、決議は賞味期限切れです。取りやめにしたほうがいいのではないでしょうか。
放漫経営で財政窮乏を招いたと市長を批判しながら、市民生活とは何のかかわりもない、議場への日の丸掲揚に予算を使おうというのですから、自民党は何か変ですね。

2006年の教員自殺が訴訟に!
 2006年に市内小学校の新人教諭が自殺した事件で、遺族が、パワハラが原因として「公務上災害」の申請をしたが、地方公務員災害補償基金が審査を放置しており違法、として東京地裁に提訴しました。
 訴状では、うつ病を発症し自殺するまでに至った原因として、当時の校長や市教育委員会教育指導課長らのパワーハラスメントがあったとしています。
 訴訟の経過に注目するとともに、教育環境や、教育職場の環境について注意を払っていきたいと思います。

東大農場を丸ごと残そう!
 オオタカが生息している東大農場の自然生態系が危機に直面しています。
 東大農場関連で、現在「都市計画道路3・4・9 号線建設計画」「東京大学キャンパス整備計画」「西東京市の地区計画」の3 つの計画がそれぞれ進行しています。これらの計画は相互に関連があるにもかかわらず、別々のもののように進められています。
 3・4・9号線は東大農場を横断し、北原交差点を迂回する道路です。キャンパス計画はこの道路を活用し、道路沿道部分を開発するものです。地区計画はキャンパス整備に際して、周辺道路整備に協力してもらいながら、キャンパス整備に必要な用途地域の変更などを行うものです。
 東大は3・4・9号線や地区計画がなければキャンパス整備ができません。キャンパス整備ができなければ、道路に土地を売る必然性はありません。また、道路やキャンパス整備がないのなら地区計画を作る理由はないのです。
 そして今、キャンパス整備計画は「東京における自然の保護と回復に関する条例」の審査対象になっています。
 しかし、3・4・9号線は事業認可され、環境保護について東京都の道路建設局は、3・4・9号線は環境アセスメントの対象ではない、事業の中で個別に対策を講じると言っているのみです。環境局との間で必要な協議をおこなっても、東京都の内部協議ですので期待はできません。
 東大農場の生態系が危機に直面した発端は、西東京市が3・4・9号線を積極的に推進したことです。理屈付けにした「北原交差点の混雑緩和」は、新しい道路がない今でも、すでに実現しています。理由がなくなった以上、潔く3・4・9号線は不要になったと認めるべきです。私の本会議での質問に対して、市長は、自分が言ったから道路計画ができたわけではない、認識が間違っていると主張していました。しかし、道路の線引きがあって、東京都と西東京市が合意すれば計画は前に進みます。
 問題は西東京市に東大農場の豊かな生態系を守ろうという姿勢とプラン、町をどうするのかのグランドデザインがなかった、ということでしょう。

震災ガレキの広域処理について
 東北大震災で発生した膨大なガレキを広域で処理するという計画が進められて、賛否両論が渦巻く状態になっています。一日も早いガレキの処理が必要です。しかし、ガレキが復興を妨げているわけではありません。「だから広域処理で」ということには異論があります。ましてやそれが被災地支援だ、絆だというに至っては首をかしげてしまいます。
 この一年間ガレキ処理を遅らせ、現状をもたらしたのは政府です。廃棄物は自区内処理でという原則があります。それに従って処理するために仮設焼却炉の新設を求めた被災自治体の訴えを政府は拒否しています。また、沈下した地盤のかさ上げのためにガレキを受け入れたい、との要望も拒否しています。震災直後から、ガレキを「地球資源」として丸ごと防潮林の基礎(マウンド)として利用しようという提案がありました。
 しかし政府は現地処理の手段を次々と奪ってガレキを放置し、広域処理へと誘導しました。政府に何らかの意図があったのでしょう。財政力のある仙台市は独自にガレキ処理を進め、すでに半分以上を処理しました。他地域の現状は政府の無策の結果です。そうまでして処理を遅らせたのはなぜか、それによって誰が利益を得るのでしょうか。
 ガレキ広域処理の問題点の第一は、ガレキの放射能汚染は大丈夫なのかという点です。西東京市のごみ処理施設(柳泉園)には女川町のガレキが持ち込まれます。女川町には東北電力の原発があり、その敷地内に6つのモニタリングポストがあります。それが事故後には高い数値を計測しています。つまり、ガレキは放射能汚染されたのです。
 放射性物質の取り扱い原則は「いまある場所に封じ込める」ことです。移動したり焼却したりすれば放射能は拡散します。放射能の減衰は時間の経過を待つしかありません。「焼却炉のバグフィルター(有害物質除去装置)で放射性物質は捕捉できない」と、メーカーは答えています。
 第二に、ガレキには実に多くの有害物質が付着しています。アスベストやヒ素は言うに及ばず、津波で倒壊した工場から出た、さまざまな有害化学物質によって汚染され、燃やすのは危険です。
 第三に、ガレキの広域処理では被災地にお金が落ちず、被災地の復興促進にはつながりません。
 ガレキの総量は2250万トン、阪神淡路大震災の時のガレキ総量約2000万トンと、ほぼ同量です。阪神の時の処理単価はトン当たり2万2千円でした。東北に当てはめると約5000億円が地元に落ちるはずです。政府は9900億円のガレキ処理費用を計上しています。広域処理では、このお金が被災地ではなく、全国にばらまかれます。広域処理は被災地の復旧・復興を助けることにはならず、むしろ遅らせることになります。全国の心優しい人々をたぶらかす政府に憤りが絶えません。



森てるおと市民のひろばにどうぞお越しください
1 5月26日(土)午前10時〜12時 西東京市民会館 第1会議室
2 5月26日(土)午後 7時〜 9時 コール田無 会議室B
3 5月27日(日)午前10時〜12時 保谷こもれびホール 会議室

 「森てるおと市民のひろば」は市民の皆さんのそれぞれが重要な課題だと考える事柄について、市民の皆さん同士で話し合っていただくために、森てるおが用意しました。森てるおが知っていることについては十分ご説明します。そして議論には森てるおも参加者の一人として加わります。
 「拡声器」をお届けするのが遅くなり、市民の皆さんからお叱りを頂戴することが多々あります。森てるおが病気以前のように配布できる状態ではありませんので、お届けが遅れたり配布しきれなかったりという事態が発生しています。ぜひとも定期購読してください。また、配布にご協力くだされば、いろいろなご案内もお届けさせていただきます。



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