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 森てるおの拡声器 <第49号> 2012年1月発行  (html版)


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12歳?の愛猫<写真>

原発事故は収束していない!

 2011年は3月11日の東日本大震災、それに引き続いた東京電力福島第一原子力発電所での事故に象徴される一年になりました。被災現地の復旧・復興は遅々として進まず、また、事故を起こした原発は今も放射能を出し続け、各地に飛び散った放射能はさまざまに形を変え、私たちの前に姿を現して来ています。政府が言う「収束」には全く至っていません。
 西東京市も3月12日から15日に至る福島原発の爆発事故の影響を受けることになりました。市民がその影響を知り、自分で納得できる対処をしてもらうために、森てるおはそれ以後の議会で、一貫して市が放射能の測定をするように求めてきました。その都度、市長からは「測らない」との回答が繰り返されてきました。しかし、なぜかその後市は、要求どおりの措置を行なってきたのです。私の質問の背後に、同じ気持ちを持ったおおぜいの市民がいることを無視できなかった結果でしょう。

どうする、残されている課題
 給食食材や一般食材、それから土壌の含有放射能の測定は、西東京市ではまだ行なわれていません。これらへの対応は市が測定器を購入し、給食食材を最優先に測定して、空いた時間を市民の自主測定に回すことで幾分かは解決します。土壌にも対応できます。しかも費用は最も安く済みます。
 市民には消費者として知る権利、選ぶ権利があります。規制値を超えているかどうかしか知らされないのでは、市民は選ぶことができません。結局、自己防衛のためには安全なものも含めて、一定地方の産品を拒否することになってしまいます。事実を伝えない国の姿勢が、風評被害を作っているのです。国が測定しないのなら、市民のために、市が測定環境を作るべきです。
 現在の規制値は、2012年4月には5分の1くらいに厳しくされます。一般食品は、現在の500ベクレルが100ベクレルに規制強化になるようです。500ベクレルで安全宣言され市場に出回っているお米や穀類、乾物などは、4月以降は規制値越えになりますが、そのまま流通し続けるのでしょうか。それとも、回収されて国や東京電力の補償対象になるのでしょうか。
 新しい規制値を超えているかもしれないものを消費者は買わないでしょう。また、放射能はできるだけ体内に取り込まないほうがいいという考え方からすれば、100ベクレルは高い値です。もっと低くなければ買わないという人も多いことでしょう。だから、やはりどのくらい含まれているのかを測ることが必要です。広大な地域が汚染されてしまった今、どのくらいの汚染度のものまで食べるのかは、市民の選択に任せなければなりません。10ベクレルなら食べるのか、50ベクレルなら食べるのか、市民は苦渋の選択を迫られています。市はその手助けくらいして当然でしょう。

原発のない社会は、私たちの責任で作ろう
 原子力発電は、いわば膨大な原子力利権に群がった政治家、官僚、経済界が札びら攻勢で作り上げた虚構でした。推進に当たっては「安全」が不可欠です。しかし実際の安全を追求するのが困難なので、札びらに物を言わせ、高いギャラで集めた学者、文化人、タレントなどに虚構の安全「安全神話」を吹聴させました。
 その電気を享受してきたからといって気に病む必要はありません。利権に群がった人たち、高額ギャラを受け取った人たちは、私たちの何倍も何十倍も儲けています。その元になっているのは私たちが払った電気料金、そして税金です。私たちへの見返りは放射能でしたね。
 私たちの時代の電気のために、放射能や、百万年単位で管理が必要な核のごみを、孫や子の世代に残していいのでしょうか。私たちがいやだといえば、こんな社会から抜け出すことができます。
 西東京市は東京電力の管内ですから、福島原発の電気を使ってきました。しかし、西東京市自体は浴びるほど使っていません。光熱水費の削減は自治体の経費削減の大きな柱ですから、節約に勤めています。市民の皆さんも有り余るほど電気を使っているわけではありませんよね。いったい誰が何のために使ってきたのでしょうか。宇宙からの写真を見ると、日本はやたら明るく見えます。今、節電によって、街が少し暗くなりました。しかし不都合はありません。だったら、原発に依存しない西東京市は作れます。次の世代に胸を張って手渡せる、そんな西東京市にしていきたいものです。

市の功労表彰について
 先日、市の表彰がありました。内訳は功労表彰17名、一般表彰7名2団体、技能功労表彰9名でした。このうち功労表彰17名(退職議員8名、教育委員2名、公平委員会委員1名、農業委員6名)の表彰には以前にも取り上げたことがありますが、異論があります。
 これらの人たちはすべて報酬をもらって就任していたのです。功労があって当たり前、なければ「金返せ!」と言われても仕方ない人たちです。なぜ表彰する必要があるのでしょうか。
 実は、表彰制度には与える側、受け取る側の双方に権威を付与するという性格があります。また、功労表彰の対象者は市政に業として関わった人たちであり、いわば官の側の人たちです。だから、官尊民卑の象徴ともいえます。言葉を変えていえば「仲間内のほめあい」といえるでしょう。
 そんな権威のやり取りから特権意識というものが生まれてきます。特権意識を生むものとして、かつて、議長会による議員の永年勤続表彰を廃止させたことがあります。
 市民にとっていいことではありません。功労表彰はやめるべきでしょう。

乱暴な言葉?
 「放射能について市民が詳しくないことに付け込んで不安をあおるような輩(ヤカラ)がいる!」と語気を強めた保谷なおみ議員の一般質問。原発事故での風評被害に怒り、風評を振りまく者に対する怒りを表現したものだったのでしょう。
 しかし、風評とは何か、風評被害とは何なのかがわかりません。何をもって「不安をあおっている」というのでしょうか。危険性を訴える者がすべて「輩(ヤカラ)」呼ばわりはされているように感じてしまいます。自分の考えと合わない人たちを公的な場所で「輩(ヤカラ)」呼ばわりするのはやめたほうがいいと思うんですけどねぇ〜。

議会、議員、何する人ぞ?
 「議員は議場を使っておねだりをしている」と喝破した某市市長がいましたが、「言いえて妙」という感想を持ちました。「自分が市を運営する立場だったら」という考えを持とうとしないからおねだりになります。予算に対する権限がない、言い換えれば責任がない、だから無責任なおねだりになるのです。心したいものですね。
 この議会でも小中学校のエアコン設置を迫る何人かの質問がありました。エアコン設置は国の補助金を前提に検討されたものです。しかし東日本大震災で補助金は出なくなりました。国に合わせて東京都が上乗せすることになっていた分は残りましたが、国の補助分は市の負担になることが、はっきりしたのです。それでも導入しろというのが質問の趣旨でした。
 ランニングコストも含めてエアコン設置が、西東京市政にとってどの程度の優先課題なのか、再検討する必要があるでしょう。国の来年度予算の概要が報道されていますが、相変わらず史上最大の借金予算です。将来に禍根を残さないように、おねだりはやめるべきだと思いますよ。

おかしいぞ!西東京市議会
陳情を「参考配布」
 「広域避難場所(東大農場)に防災備蓄倉庫を設置せよ」という陳情が、委員会での審議の対象としない「参考配布」になりました。「えっ、広域避難場所に備蓄物資がないの?」と思った人も多いのではないでしょうか。  市はどう考えているのか、東大農場では作らせてくれないのか、そもそも広域避難場所に備蓄物資を置く必要はないのかなど、この陳情を契機に議会が審議すべきことはたくさんあります。通常、委員会では議案や陳情・請願の審議しか行っておらず、そこにない事柄は議論の対象にもなりません。陳情・請願は議会への問題提起にもなっているのです。議会の役割は市民に代わって議論をすることです。  高い報酬をもらっているのだから、市民の要請に明確な回答や説明ができる議会でなければなりません。

議場に日の丸、何考えてんの?
 「議場に国旗式を掲揚しろ」という陳情が提出されました。西東京市には様々な市民(住民)がいるので特別に奇異なことではありません。問題は議会がどう取り扱うかなのです。
 自治体の役割は「住民福祉の向上」を図ることです。自治体議会の役割も同じです。あくまでもそこに住む人(住民)の福祉の向上に資する議会でなければなりません。住民とはその場所、その地域に住んでいる人のことで、もちろんそこには外国人が含まれています。先頃、外国人を別管理にしていた外国人登録法が廃止されて、住民登録に一元化されました。これも時代の流れというものでしょう。
 日の丸でひとくくりにされたくない人たちは、「住民」の中にたくさんいます。また戦後66年の今日、住民の中に少なくとも日本人がヒロシマ・ナガサキを記憶しているのと同じ程度に、日本の蛮行を記憶している人たちがいます。日の丸の掲揚は、それらの人たちを排除して西東京市政を進めることを宣言するに等しいものがあります。
 住民が陳情したとしても、議会がそれに従った判断をしなければいけないわけではありません。議会として市民に明快な説明ができればいいのです。現に西東京市とその前身、旧保谷市、旧田無市ともに議場に日の丸を掲揚してきませんでした。賢明な判断だったといえます。
 陳情を採択し、議員提出の決議まで強行した議員たちは賢明さを捨て去ったのです。住民の福祉の向上を第一の役割にする地方議会が日の丸による住民の分断を煽っている場合ではありません。自分たちの考え方で全体を仕切ろうという狭い考え、セクショナリズム(セクト主義)で地方議会を運営してはいけません。

無農薬有機農業と放射能
 我が家は発足して40年近くになる野菜の共同購入団体に35年ほど前から参加しています。無農薬・無化学肥料で露地栽培してもらった野菜を団体が全量引き取り、生産者の生活を支えるという原則で生産者グループと提携しています。露地栽培なので、旬の野菜が届きます。温室で冬に作るキューリやトマトなどと違って価格は高くはありません。もちろん、季節のものしか届きません。楽な農法ではないのですが、生産者の皆さんは精いっぱいの努力をしてくださっています。
 そんな努力をあざ笑うかのように、福島原発から放射能が飛来してきました。無農薬栽培にとって放射能は、如何ともしようがない青天の霹靂というしかありません。せっかく無農薬で栽培しても、放射能が含まれていては何の意味もありません。生産者にしてみれば、体中から力が抜けていくような気持だったことでしょう。
 団体の中でも、この事態を受けてどうするかが大きな問題になりました。真正面から向き合っていくしかないという結論を得て、まず生産物の放射能測定から始めました。幸運なことにホットスポットから外れていたこともあって、検出されたのは比較的小さな値でした。お米は0.1ベクレルまで測定可能な機器で測り、0.4ベクレルでした。ちなみに昨年度産米は検出下限値以下で明らかに違いがありました。他の物では椎茸が46ベクレルと高い値でした。また、30年以上、無農薬・無化学肥料で生産してきた静岡のお茶農家では、規制値を超えた一番茶がすべて出荷停止になりました。
 今後も継続して放射能を測定していく必要があります。放射性物質が安全といえるレベルになるのには、半減期の10倍の時間が必要だといわれていますから、長い対策が必要な時代に入ったのです。私たちは生産者を孤立させないで支えながら、生産者を先頭にして事故の責任を追及していく、そんな活動をしていかなければなりません。
 今回の事故で明らかになったことは、原子力発電は無農薬・有機農業にとって天敵だということです。空も海も一つながりですから、北海道で獲れた魚にさえセシウム汚染が見られたように、どこで事故が起こっても必ず影響があります。また、事故のリスクはゼロにはなりません。
 いったん事故が起こってしまったらどうなるか、起こってしまった悲惨な結果を私たちは知ってしまいました。また、チェルノブイリがたどってきた現実を見れば、これから急性障害の時期を過ぎて、内部被ばくによる晩発性障害が多発してくることは、容易に推測できます。内部被曝の一番の原因は汚染食品です。
 今は食品汚染が広がっていますが、今後、安全なものを食べ続けたいと思ったら、脱原発によって放射能リスクをゼロにするしかありません。



どうぞ 森てるおと市民のひろば お越しください
1 2月25日(土)午前10時〜12時 西東京市民会館 第2会議室
2 2月25日(土)午後 7時〜 9時 コール田無 会議室B
3 2月26日(日)午前10時〜12時 保谷こもれびホール 会議室

 「森てるおと市民のひろば」は市民の皆さんのそれぞれが重要な課題だと考える事柄について、市民の皆さん同士で話し合っていただくために、森てるおが用意しました。森てるおが知っていることについては十分ご説明します。そして議論には森てるおも参加者の一人として加わります。
 「拡声器」をお届けするのが遅くなり、市民の皆さんからお叱りを頂戴することが多々あります。森てるおが病気以前のように配布できる状態ではありませんので、お届けが遅れたり配布しきれなかったりという事態が発生しています。ぜひとも定期購読してください。また、配布にご協力くだされば、いろいろなご案内もお届けさせていただきます。



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