柳泉園組合におけるプラスチック焼却の検討についての声明
柳泉園構成3市の市議会議員8名による共同声明
 柳泉園組合の構成3市では、今年7月から8月にかけてプラスチック焼却をするための「説明会」を開催するとして、相次いでその日程を発表しています。
現在、柳泉園組合と構成3市では、プラスチックを不燃物として容器包装リサイクル法に基づく処理を進めることが明記されている「廃棄物処理基本計画」の通り、プラスチックを不燃物の扱いとし焼却処理していません。しかし、不燃物として扱っているプラスチックについての方針を転換し、可燃物として焼却することになれば、プラスチック焼却に伴い発生するダイオキシンや重金属の危険性の問題のみならず、分別という廃棄物処理の基本さえ揺るがすことになります。
 実際に、一昨年、プラスチックの無断焼却が発覚した際に市民の間に生じた行政に対する不信感、すなわち「プラスチックを分別したってどうせ一緒に燃やしてしまうのでしょう。なぜ、わざわざ分別する必要があるのか。」という疑問に答えられないばかりか、分別処理を進めることによるごみ総量の減少化傾向に水を差すことになります。
 次世代にきれいな地球を手渡していくために、市民の方々は熱心にごみの分別に取り組み、減量化を進め、行政に協力してきました。また、こどもたちには、学校はもとより家庭や地域においてごみ問題をともに考える中で分別の必要性を教え、環境教育に取り組んできたのです。しかしながら現在、ごみ処理についての議論は十分に尽くされているとは言えず、このままプラスチック焼却を進めることにでもなれば、市民生活の場では大変な混乱を招くことになりかねません。

 このたび一方的に進められようとしているプラスチック焼却については、次のようにいくつかの問題点を指摘することができます。

 第一に、プラスチック焼却の可否については各市議会、そして柳泉園議会においても決して議論が尽くされているとは言えず、結論も出ていません。
 それにもかかわらず三市長によって構成されている管理者会議で方針が出されてきた点です。市民の知らないところで決めてしまおうという姿勢には大いに問題があります。ごみ問題の解決には市民の理解と協力が必要不可欠です。管理者が決めればその通りにできるということではないのです。透明性のある議論と決定が行われなければならないのは言うまでもありません。
 折りしも、柳泉園敷地内からは昨年9月には620ピコグラムという高濃度のダイオキシンが検出されています。その後引き続き行われた調査においても高濃度の値が検出され、本年5月にはまたしても510ピコグラムという高い数値のダイオキシンが検出されました。それにも関わらず、原因究明はおろか何の安全対策も取られていません。市民の健康や生命を軽視しているものとしか思われません。こうした状況の中で、プラスチックごみの最終処分場への搬入量が増加しているという問題はあるにしても、なぜ一方的に結論を出そうとしているのか理解できません。

 第二に基本計画違反です。
 ごみ処理については、「廃棄物処理及び清掃に関する法律」で自治体が基本計画を策定して進めることが義務づけられています。構成各市の廃棄物処理基本計画ではプラスチックは不燃物と位置づけ、容器包装リサイクル法に基づく処理を進めることが明記されています。しかしそれに反した処理一覧表が作成され、柳泉園では不燃プラスチックの8割を焼却処理していたことが発覚しました。従って、もし燃やすとすれば現基本計画に違反することになります。また、これまで廃棄物処理審議会等においてプラスチック焼却に関する答申が出た事実はなく、まして、現在は基本計画改訂に向けての審議が各市において進められているところです。構成市の中には未だ審議に入っていないところもあります。いずれにせよ、三市の基本計画が出された段階で柳泉園の基本計画が策定されることになっています。また、東久留米市や旧田無市の市議会では、早期に容器包装リサイクル法に基づくプラスチックのリサイクルを進める決議、陳情採択がなされています。このような中で、新しい基本計画の策定に先行しての方針決定は、現基本計画違反になると同時に議会と審議会を著しく軽視するものと言わざるを得ません。

 第三に、今回の決定の根拠が明らかにされていない点について指摘しておきます。
 この数年、人間は自然の一員として、また環境破壊の責任者として環境問題の解決に努めることが求められるようになりました。21世紀は環境の世紀なのです。
 これまで環境問題についての関心の低さが指摘されていた日本でも、ようやく昨年「循環型社会基本法」が成立しました。ごみを燃やすということは最後の選択であり、ごみの循環利用を進めることによって自然環境にやさしい処理をしていくことが定められています。こんな中で、いったい何を根拠に、またどのような手続きのもとにプラスチック焼却の方針が出てくるのでしょうか。
 今や情報公開の時代から、すでに市民と行政による情報の共有の時代を迎えています。それとともに行政の責務として市民の知る権利に基づき説明責任を果たすことが義務づけられています。さらにパブリックコメント制度の必要性についても言及されるようになってきました。根拠の明確でない施策が上位下達のように打ち出されて市民が納得する時代ではありません。
 以上の各点の問題点を指摘した上で、全く突然に今回のような方針が打ち出されてきたことについて、私たち構成市の議員は強く抗議します。
 さらにプラスチック焼却の是非について、議会における議論を深めるとともに、広く、ていねいに市民の意見を聞き、議論を重ねていくことを求めます。

   2001年7月31日
    清瀬市議会議員  原まさ子
    西東京市議会議員  土井節子  森 輝雄  森下典子  安岡厚子
    東久留米市議会議員  池田治夫  白石玲子  杉原元雄     (50音順)



 言いたい放題のページへ戻る

 表紙へ戻る